最後の夜

2003年11月7日
なにもかもが終わり
新しい明日が始まると信じていた

後悔ばかりだった街を離れる事で
自分が変われるような気がしていた

残してきた人達に対して
置いていけるものは余りに少なく
出てくるセリフは
“強がり”としか思えない言葉

新しい生活に何があるのか
何をすべきかも解らず
それでもこの場所にいる事が許せず

最後の“さよなら”を済ませた


何かを遠ざけて
評論家のように語った日々も
遠ざけたものの大きさだけが
今も残る

「なんでも出来る」という事…
何も出来ないという意味


確かにそこにあると思ってた真実
あまりにも無知で
あまりにも「現実」を知らなすぎた

今ならわかる
僕があの夜に置いてきたものの姿

心を

無音

2003年10月23日
古いギターが出てきた
学生の時に先輩から貰ったギター
卒業することなく出て行った彼 そして
同じ道を辿った僕

キーボード担当だった僕が
必要も無いのに毎回持ち歩いたギター

いろんな事に戸惑い
それでも日々の“仕事”をこなしてきた

演奏出来る所ならどこへでも行った
どんな人が聞きに来ても
楽しんでもらえるように一生懸命
辛くても楽しい顔をする癖はきっとその頃から…

誰も聞いていないような会場でも
有線とは違う何かを
感じてもらいたくて必死だった


3台あったキーボードは1台になったけど
遠いあの頃の記憶は今も
弦のないギターと共にある

意味は無いんだ

あの頃が
あの夢が
本当にあった事を

奏でる事のできないギターだけが知ってる

大人になると云う事

2003年10月14日
「コドモダカラ」とか
「お前にはまだわからないだろう」とか
「ワタシタチハマダハヤスギル」とか…

いろんな事を云われてきた

いつも 意味がわかったフリして
その場を離れていた

“大きな人”って云われる大人に
今の僕はなってる
自分のキャラクターを理解したつもりで
作り上げてきた「歴史」

今でもわからない
あの時なんで「コドモダカラ」と云われたのか?
「ワタシタチハマダハヤスギル」と云われたのか?

いつも僕は僕で
他人の人生とは違う“僕”を生きてきた
後悔する事を望まず

それでも今、認めたくないけど気付いてる事
19のときに過ごした1年は
今の3年以上の価値があった
って事

夢にも見なかったアスファルトの上の暮らし
予想外の結婚と幸せ

あの頃の僕が
今の僕を見たら

生きていく事に
絶望しか残らないと思う

それでも今、僕は生きている
それが大人になると云う事なのかも知れない

淋しいと思うか
そんな生き方はしないと思うか
全て君の決心次第だと……

いつか…

2003年9月24日
そう思いながらその“いつか”は通り過ぎ
後悔ばかりが残る
約束した場所に辿り着けず
仕方ないという言葉だけを繰り返す生き方に
いったいどんな意味があるのだろう。

奇麗事を並べるたびに心が汚れる
生きてるって事自体が汚れることだと…
こんな言葉すら奇麗事。

夜中に流れ星を数えて
3回もお願いを云うヒマなんて無い事を知った。
自分で掴もうとした夢のために落としてきたもの
辿り着いた東京では流れ星そのものが見えない。

“いつか”が“いつ”なのか…
そして“いつか”の日が来た時
“なに”があるのか
それを知りたい。

明日を…

2003年9月21日
繰り返すだけの
変わらない日々
暗い話題で埋め尽くされて
ゆがめられたニュースペーパー
銀行破綻 幼児虐待
悲劇さえも ありふれて行く

今 君が望む
手に入れるべき
希望の明日は
脆く揺れる丘の上で
見えない朝を待っている

絶望の闇に怖れながら
光を求める愚かな群集
愛を 夢を 人を
そして未来を
信じさせてくれ

忘れない

2003年9月2日
想い出の人は
歳を取らず
いつのまにか
そばかすも消える

今が無いという
幸せ
記憶の中で美しくなる

彼女はいつまでも
二十歳のままで

歩こう…

2003年8月30日
泣いて 悩んで
そして 傷つき
僕等は流れる

僕は僕を生きてる
君は君を生きてる
生き方はみ無限

喜びと悲しみを連れ
いつか時が離れたとして
思い出の先に逢おう

辿りつける 場所がある
生きるという 瞬間を信じて
夏休み

いつものように宿題なんか知らん顔で
友達と遊ぶことが最優先だった頃

遠藤と遠山と僕
いつも近所の原っぱでカマキリを取ったり
いつもの沼でザリガニを釣ってた

当時僕には「お小遣い」ってモノがなくて
近所の駄菓子屋に行くときはおばあちゃんにお金をもらってた

たまにザリガニ釣りをやた帰りに駄菓子屋に行くと
遠山や遠藤に借りてた

今思うと僕の初めての借金はあの時だな

よく3人で遊びに行ったけど
遠くへは行かなかった

僕だけ自転車に乗れなかったから

自転車そのものが買ってもらえなかった事もあって
お兄さんのお古だったけど
遠山のキア付き自転車は僕の憧れだった

ブレーキが壊れてて降りないと止まらない自転車だったから
いつも「そんな危ない自転車に乗るなよ」
って云ってた
妬みが100%だったと思うけど…
しかも実際は壊れてたのは2日ぐらいだ


約束なんかした事がなかった
誰かが誰かの家に行き、次の家に行く
それだけでいつも集まっていた3人だった
「しんちゃんのトコに行く」
それが遠山の家族に話した最後の言葉
昼過ぎに僕が遠藤の家に行き
二人で遠山の家に行ったとき
家には誰もいなかった

たまにはそんな日もあると二人で一日遊んだ


「しんちゃん」とは僕のことだ

僕の家に向かう途中
信号のない通りがある

ブレーキの壊れた自転車に乗った遠山は
何も考える暇無く
トラックの下敷きになった


即死


その意味もあまり解らない小学3年生の僕は
いつもカマキリを捕まえていた原っぱにあった
「猫の死体」をイメージしていた

9歳の時に時間を止めた遠山君
あれから僕は18歳27歳と
君の倍生きてきた時に君の消えた場所に立った
遊ぶ事しか知らなかった君と

生きる事の辛さや悲しみを覚えた僕
どちらが幸せだったのか

今年
子供を連れて君の場所にきた

恒例のビールとタバコを線香代わりに
今年は二人の娘を君に紹介する


生きる事の意味と価値は
そして君と僕の違いを

これからも探し続けようと思う

智枝

2003年8月19日
君には嘘ばかりついてた

片田舎の街の高校生だった君に
なんでも知っているような大人びたふりで
色々話したね

19の僕にとって
あの時云った全ての言葉は真実だったし、
間違えているなんて思いもしなかった

君の家庭環境が僕と似ていた事もあって
僕が高校の時に感じていた事を話した日もある

一人っ子だった僕は正直
妹ができたみたいで嬉しかったんだよ
君も僕には彼女がいるからって安心してたし

青臭い僕は「男と女の友情」を信じていたし

君が高校を卒業して東京に行く云って
僕にこう聞いたよね
「卒業したら東京に戻るんでしょ?」って

あの頃の僕はきっと何も考えていなかったんだと思う
就職が決まって僕が東京に帰らないかも知れない
っていった次の日
初めて君は僕の部屋に泊まった
妹に手を出す事はできないと我慢した僕を
君はどう思ったのか


東京に行った君と何度か交わした手紙に
君の意思を感じなくちゃいけなかった


智枝
今君は灯りのない部屋で
届かない灯りを探し疲れて
流されるままに時をすごし
目の前にある現実だけを受け入れている

あれから13年が過ぎた
僕もあの頃では想像もできないような人と
家族を持ち
きっと現実は「幸せな人」になってる

君への優しさとか
ましてや愛とかじゃなく
きっと自分のために

智枝が幸せになる事を祈ってる

大切な妹で
大切な人の友人
そして僕の人生で一番大きな
Missとして……

君のもとへ

2003年8月4日
免許を取ったんだ
5万円もしない中古だけど
2ドアのスポーツカーも買った

全て君が知らない事だよ

ある日いきなり車で君を迎えに行く
そんな事を夢見ていた僕さ

仕事が終わったのが午前2時
君の街まで山道を200Km
のんびり走っても朝には着く
君の住む寮から病院までのドライブ

それだけを望んだ真夜中のドライブ

明け方に着いた寮の前で君の部屋の明かりを待つ

一度会ったことのある子が僕に気付き
君を呼んでくれたのは7時
「寝起きです」って顔の君が愛しくて
セーターの下に見えるパジャマのことは云えなかった

半年振りの再会は金網越し
たくさんの友達が見てるせいか
君の頬が紅く染まる

逢えた事の喜びの中で
伝えたい言葉も無くし
僕はただ「元気?」としか云えず
君はずっと僕を見ていた

逢えたことの喜びに
車のことも
ドライブの事も忘れた

二人が離れた部屋で交わした
最後の約束

「今がそうなの?」
聞いた君の言葉が
僕を現実に呼び戻す

君はずっと僕が迎えに来ることを信じていたし
僕は
もう迎えに行くことができない事を知っていた

ただ
逢いたかったんだ

君は君の夢を見つけ
追いかけている時
僕は僕の夢を探している時だった

君を乗せるべき夢が何なのか
それを見つけて逢いにくる約束

破ったのは僕

今日の日記

2003年7月27日
窓の外に聞こえる学生の声

ひときわ大きな笑い声が
あの角を曲がる
通いなれた僕の部屋に
ノックもせずに飛び込んでくる


あれから4年
君の通学路は後輩のものになり
僕もこの部屋から出て行く

愛と欲望の違いに気付かなかった僕らは
与えられる事だけを求め
不満だらけになっていった

与えてくれる事が愛だと
思い込んだ僕は
「愛してる」という言葉
君以外に使うことが
悪いことだと思わなかった


君が着た制服を
君と違う女の子が着て
あの世代特有の笑い声を上げている

あの角を曲がる
君を追いかけることもできずに
忘れかけた優しさ
聞き飽きた Love Song
この耳の中で蘇る
勝手に躍る君の笑顔
ひとときだけでも
僕に向けて欲しかったけど

遠い昔の話みたいに
語る君の声が今も
幻の様に繰り返す

触れようとした君の笑顔が
映画の中のひとコマみたいに
僕の目のまえ 通り過ぎる

支えきれない大切なものを
踏み潰しながら作り上げた
歴史が今夜は 悲しみになる

何もいらない 君がいたら
好きだった詩 二人で聴けたら
淡い雪が降りしきる
落ちては溶ける小さな雪は
まるで僕等の夢のようだね
あと少しだけ このままいたい
愛のかけらが溶けるまで

君がこのまま帰るというなら
手はポケットから出すほうがいい

いつまでたってもやまない雪は
夏の空の星達みたいさ
時を忘れる輝きの中


淡い雪が降りしきる
肩に積もる小さな雪は
まるで二人の影みたいだね
もう少しだけ僕を照らして
君の笑顔が戻るまで

僕が止めても帰るというなら
やさしさという嘘はいらない

丸くかためた雪の中に
二人の未来が隠れていたね
僕が知らずに投げ捨てただけ

いつまでたってもやまない雪は
夏の空の星達みたいさ
時を忘れる輝きの中

23歳

2003年6月23日
“ひさしぶりね”と話しかけた君は
昔の面影 残したままで
あの たずねかけるような瞳
僕に向ける

恵子 もし僕等が
もっと早く愛に気付けば
きっと僕も君も
すべてがうまくいってた

いまさら話す言葉の意味すら
なにもないけど
幸せそうに差し出す左手
薬指には僕じゃない影
 
 
  
 
地方の団地に暮らす恵子
忘れられない思い出の一年間であり…
忘れた一年でもある

生まれた日

2003年6月13日
君の何度目かの誕生日に
僕は部屋を掃除して新しいコーヒー豆を買ってきた。

出会って3度目の誕生日に
僕ができる事がそれだけだった

君のためにいくつも作った
愛の詩すら時が流し
“責任”の中に埋もれて
結局
新しいコーヒー豆は使わず
いつものマンデリンの中に二人

街を歩く恋人たちが交わすような
くだらない会話もなく
ただ…
僕は明日と
その先にある現実だけを話し
君は辿り着けない「二人の未来」を話した

戻れない現実を
嫌というほど見せつけられた
君が生まれた日
受け入れた現実の違いに、
戸惑っている人間がたまに書くうさばらしです。
君は あなたは どう生きている?

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